第31回 ヒトヨタケ 
上條 吉人(埼玉医科大学特任教授・臨床中毒学講座 / 同大学病院臨床中毒センター長)

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頻度:★☆☆☆☆ 危険度:★☆☆☆☆

 

■ 初期対応


Q1:特徴的な症状は?
A1:毒成分であるコプリンとエタノールが同時に生体内に存在すると,エタノール・ジスルフィラム反応様症状が生じます。

 

解説:毒成分であるコプリンとエタノールが同時に生体内に存在しなければ,無症状で経過します。エタノールが生体内に存在している際にヒトヨタケを摂取,またはヒトヨタケを摂取してコプリンが生体内に存在している際にエタノールを摂取すると,エタノール・ジスルフィラム反応様症状が生じます1)。前者の場合では,ヒトヨタケの摂取後30分~2時間で,最初にコプリン群キノコ症候群(coprinus syndrome)として記載された,拍動性頭痛,顔面紅潮,頻脈,呼吸困難,胸部絞扼感,脱力などの症状が生じます(表1)。また,後者の場合では,ヒトヨタケを摂取して数日以内なら,エタノール摂取後20分~2時間で同様の症状が生じます。いずれの場合でも,ほとんどの症状は2~6時間で消失しますが,最大72時間持続することがあります。

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