頻度:★☆☆☆☆ 危険度:★☆☆☆☆
■ 初期対応
Q1:特徴的な症状は?
A1:経口摂取後に消化器症状,神経症状,循環器症状が生じ,数週間,数カ月,さらには1年以上も持続することがあります。
解説:経口摂取後1~6時間で悪心・嘔吐,下痢,腹痛などの消化器症状が生じます。消化器症状が生じてから2日以内に,かすみ目,流涎,金属味,吃逆,嚥下障害,頭痛,歯痛,筋肉痛,関節痛,四肢および口腔領域のしびれ感やチクチク感,寒冷異痛症(cold allodynia, burning pain on exposure to cold),ドライアイスセンセーション,温覚と冷覚の逆転,知覚過敏,掻痒感,振戦,アテトーゼ,運動失調などの神経症状が生じます。特に,寒冷異痛症は特徴的な神経症状で,冷たい表面に触れると灼熱感などの不快な異常感覚が生じます1)。消化器症状や神経症状に加えて,陰性T波などの心電図異常,徐脈,血圧低下,失神などの循環器症状が併発します。重症では昏睡,痙攣発作,四肢麻痺,呼吸筋麻痺,呼吸停止などが生じます。ただし,死亡例はきわめて稀です。消化器症状や循環器症状はたいてい1~4日で自然消退しますが,消化器症状が数カ月も持続することがあります。神経症状は数週間,数カ月,さらには1年以上も持続することがあります。また,いったんは症状が改善しても,数週間~数カ月以内にアルコールや魚を摂取すると症状が再燃することがあります。