作品No.16【音楽】森田 恵成(長崎大学医学部2年生)

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森田 恵成
長崎大学医学部 2年生

森田恵成と申します。普段はDr. Winelight名義で音楽活動をしています。
今回は、私が作詞、作曲、編曲、歌唱、サウンドデザイン、ミキシング、マスタリングを全て手がけた楽曲「泡沫」で、医学生のアトリエ 2025に応募したいと思います。
まずは、今回このような素晴らしい機会を設けてくださった、金澤知大さんを始めとする「医学生のアトリエ」実行委員会の皆さんに、多大なる感謝を述べたいと思います。
さて、私の作品である「泡沫」について、少しだけ語らせてください。
私は一時期、フランスの現代思想に深く傾倒していました。レヴィナス、フーコー、デリダ。彼らが紡ぎ出した思考の海を泳ぎながら、その中に創作の可能性を模索していたのです。とりわけジャック・デリダの「他者性の泡立ち」という思想に、音楽の可能性を強く垣間見ることができました。
ジャック・デリダは、他者とは決して自己へと完全に回収され得ない、根本的な異質性を宿す存在だと述べました。世界はその他者性の絶え間ない「泡立ち」によって満たされている。すなわち、泡が生まれ、水面を漂い、やがて弾けて消えていくように、出会いもまた一瞬の光の中に輝いては、異質なままに溶けていくのです。そのような、ほんの少し厭世的な世界観が、この曲の原点にはあります。
それでも、たとえ完全には理解し合えないとしても、他者と重なり合える瞬間は確かにあります。モノクロームに沈む日々の中で、ふと光のように差し込んでくる他者の存在。デリダが示したように、他者性は不安定の源であると同時に、一期一会の奇跡を可能にする条件でもあります。もし世界がすべて同一であれば、出会いそのものが成立しない。「泡立ち」の中にこそ、かけがえのない時間は宿るのです。
この曲で伝えたかったのは、そのような世界への静かな肯定です。完全には分かり合えない、いつかは弾けてしまうかもしれない。それでも、大切な誰かと紡いだ日々の美しさは、泡立ちの中に消えるのではなく、泡立ちとともに永遠の形を帯びる。「泡沫」という題名には、そのような希望を込めました。

※イヤフォンまたはヘッドフォンで聴いていただけると嬉しいです。



▶上記の再生ボタンをクリックしてください(再生時間:5分36秒)。
※再生時の音量にご注意ください。


泡沫

作詞/作曲:森田恵成 a.k.a Dr. Winelight

待ち侘びた朝 閉じられた世界で息をしていた
モノクロームに沈む日々の中を浮かび上がる
差し込む光 それぞれに輝く鮮やかな色
いつか君が呟いていた 「夜明けは近い」

ほらね 遠くに聞こえる 少しずつ開かれてく世界が
交わりの先に君が示した美しく淡い空

出会いに意味を求めた
僕の中にある温かな揺らめきが
静かに満ちてゆく
物語が不意に弾けた
あまりにも綺麗な日々を君と紡ぎたい
泡立ちへ溶けながら

見出した声が混ざらない皆具のように響き合う
水面に映る姿に君は笑顔を見せた

不協和に消えた優しさの燻りが翳りだす
それでも続いた 君が奏でている脈拍の調べは

出会いの意味が芽吹いた
僕の中にある確かな煌めきが
ただ静かにさんざめく
物語は未だ弾けた
あまりにも綺麗な日々を僕ら生きている
泡立ちに還りながら

 

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