第4回 ペニシリンGはグラム陰性桿菌が苦手

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)

 

Keywords:ペニシリンG(PCG),腸球菌(Enterococcus属),リステリア(Listeria属),ブドウ球菌(Staphylococcus属),大腸菌(Escherichia coli),嫌気性菌,バクテロイデス(Bacteroides属)


Q. ペニシリンGがカバーしない細菌を教えてください! 


A. ブドウ球菌は不得手です。また,グラム陰性桿菌(GNR)と横隔膜から下の嫌気性菌はほとんどカバーしません。

 

前回,ペニシリンGのスペクトラムをブドウ球菌以外のグラム陽性球菌(GPC)全般と表現しましたが,今回は少し補足したいと思います。βラクタム系抗菌薬は,ペニシリン系,セフェム系,カルバペネム系などに大別されますが,細菌のなかには「同じβラクタム系でもペニシリン系には感受性だが,セフェム系には自然耐性」という変わり者がいます注1。その代表例が腸球菌なのですが,グラム陽性桿菌であるリステリアも同じ特徴をもっています。そういう意味で,ペニシリンGのカバー範囲のなかでも「腸球菌とリステリア」はワンフレーズで覚えてしまうとよいでしょう。例えば,小児や高齢者の髄膜炎に対してはセフトリアキソン(CTRX;セフェム系)だけでなくアンピシリン(ABPC;ペニシリン系)を併用することがありますが,それはリステリアを警戒してのことです注2

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