第11回 院内感染症までカバーできるセフェピム(第四世代セフェム系)

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)

 

Keywords:セフェピム(CFPM),SPACE,セラチア(Serratia属),緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa),アシネトバクター(Acinetobacter属),シトロバクター(Citrobacter属),エンテロバクター(Enterobacter属)

 

Q. セフェピムのスペクトラムを教えてください! 

A. セフトリアキソン(CTRX)のS&S+HMPEKにSPACEを加えたものです。SPACEとは,院内感染症で問題となりやすいグラム陰性桿菌(GNR)の語呂合わせです。

 

セフェム系の締めとして,今回は第四世代セフェム系であるセフェピムをご紹介いたします。セフトリアキソンのスペクトラムは,S&S+HMPEKということでした(第10回記事参照)。これは皮膚軟部組織感染症,市中肺炎,尿路感染症といった具合に市中でよく発生する感染症を一通りカバーしていることになりますが,言い方を変えれば院内で発生する感染症に対するカバーが十分ではないということでもあります。具体的には,緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などにカバーが及んでいないという問題点があるということですね。HMPEKのPは,あくまでプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)であって,緑膿菌ではない点にはお気をつけください。

 

続きを読むには
無料の会員登録 が必要です。

こちらの記事の内容はお役に立ちましたか?