第23回 MRSAにST合剤やクリンダマイシンを使ってよいのか

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)

 

Keywords:市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA),ST合剤,クリンダマイシン(CLDM),ミノサイクリン(MINO)

 

Q. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症で,ST合剤やクリンダマイシン,ミノサイクリンに感受性ありと検査結果が返ってきたのですが,使っても大丈夫ですか? 

A. いわゆる市中感染型MRSA(CA-MRSA)かもしれないですね。軽症例では使用可能ですが,重症例や菌血症を伴う症例では治療成績が安定しないので避けたほうが無難です。

 

感染症診療をやっていると,耐性菌が思わぬ抗菌薬に感受性を示すのをときどき見かけます。例えば,基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌がピペラシリン・タゾバクタム(PIPC/TAZ)に感受性を示すのはよくあることで,使いたい誘惑に駆られたことのある読者も多いのではないでしょうか(詳細は第15回記事の注釈 [1] 参照)。実は,MRSAもさまざまな抗菌薬に感受性を示すことがあり,臨床現場を混乱させていることも多々あるかと思います。

 

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