第29回 皮膚軟部組織感染症の起因菌バリエーション

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:糖尿病,肝硬変,Vibrio vulnificus,ネコ咬傷,イヌ咬傷,Pasteurella multocidaCapnocytophaga canimorsus,水系曝露,AVEEM

 

Q. ネコに噛まれて感染を生じたらアモキシシリン・クラブラン酸(AMPC/CVA)と習いました。セファレキシン(CEX)ではダメな理由を教えてください! 

A. ネコ咬傷の場合,黄色ブドウ球菌やレンサ球菌だけでなく,Pasteurella multocidaなどの特殊な細菌に感染することがよくあります。こういった細菌にはセファレキシンが効かないからです。

 

第27回で説明した通り,蜂窩織炎の起因菌の多くは黄色ブドウ球菌やA群溶血性レンサ球菌といったグラム陽性球菌(GPC)です。これは皮膚軟部組織感染症全般に当てはまる特徴です。しかし,特殊な患者背景がある場合にはそのかぎりではありません。具体的には,免疫不全を生じうる背景疾患,動物への曝露,水や土壌への曝露などがある場合には非典型的な病原体が関与していないかを想起する必要があります注1

 

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