第34回 意外と奥が深いクリンダマイシン

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:壊死性筋膜炎,デブリドマン,A群β溶血性レンサ球菌,メロペネム(MEPM),バンコマイシン(VCM),ピペラシリン・タゾバクタム(PIPC/TAZ),クリンダマイシン(CLDM),毒素産生抑制効果,リネゾリド(LZD)

 

Q. クリンダマイシンを壊死性筋膜炎に使う理由を教えてください! 

A. スペクトラムを広げるというよりは,A群β溶血性レンサ球菌の毒素産生を抑制する効果を期待して使います。

 

前回は「壊死性筋膜炎の診断は難しい」という話でしたが,治療については全く触れていませんでした。壊死性筋膜炎の治療では,抗菌薬以上に壊死組織の外科的デブリドマンが重要で,早期の処置が生命予後の改善に直結します。切開で見られる所見としては,筋膜が脆弱になっており,膿性成分や血性成分に乏しい滲出液を認めるのが一般的ですね注1。ただし,この連載では外科的処置についてはあまり深入りせず,抗菌薬選択についてお話ししていこうと思います。

 

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