執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:セフトリアキソン(CTRX),アレルギー,偽胆石症,カルシウム
Q. セフトリアキソンを乳酸リンゲル液と混ぜてはいけない理由を教えてください!
A. 乳酸リンゲル液に含まれるカルシウムとセフトリアキソンは,配合変化により結晶を作ることが知られています。特に新生児の場合は,死亡例が出ているので避けなければいけません。
前回,腎盂腎炎をはじめとする尿路感染症ではβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリンよりもセフェム系のほうが理に適っているのではないか,という話をしました。その理由としては,(1)大腸菌のアンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT)への耐性化が進んでいること,(2)嫌気性菌を不必要にカバーしていることを挙げました。ところで,救急外来ではアンピシリン・スルバクタム以外にセフトリアキソン(CTRX)もよく使われます。尿路感染症に対しては適切なことが多いのですが,これだけ頻用される薬剤ですから,副作用もしっかりと整理して覚えておきましょう。