第63回 嫌気性菌をどこまで気にするべきか

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:グラム陰性桿菌,腸内細菌目,嫌気性菌,ピペラシリン・タゾバクタム(PIPC/TAZ),メロペネム(MEPM),メトロニダゾール(MNZ),クリンダマイシン(CLDM)

 

Q. 腹腔内感染症の治療レジメンの組み立て方を教えてください!  

A. 基本的にはグラム陰性桿菌+嫌気性菌のカバーです。ただし,嫌気性菌のカバーが本当に必要かどうかには議論の余地がありそうです。

 

第60回で簡単に触れましたが,腹腔内感染症の起因菌として重要なのはグラム陰性桿菌と嫌気性菌です。具体的には,グラム陰性桿菌であれば,大腸菌,Klebsiella属,Proteus属などの腸内細菌目が主で注1,時に緑膿菌が関与します。また,嫌気性菌であれば,Bacteroides属やClostridium属が主に関与します注2。したがって,腹腔内感染症に対してはこれらの細菌をカバーできる抗菌薬レジメンを選択することになるわけです。

 

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