執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:コアグラーゼ陰性ブドウ球菌,表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis),血液培養,コンタミネーション,Staphylococcus lugdunensis
Q. 血液培養でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が発育したときの注意点を教えてください!
A. 患者の状態と合わせてコンタミネーションの判断を行うことが大切です。同時に,Staphylococcus lugdunensisによる真の菌血症の場合は,黄色ブドウ球菌菌血症の診療バンドルに準拠した対応をお勧めします。
第72回は黄色ブドウ球菌菌血症の話題でした。そうすると,他のブドウ球菌についても触れないわけにはいきません。ブドウ球菌は大きくコアグラーゼ陽性のものと陰性のものに分けられます。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はコアグラーゼ陽性です。逆に,黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌の多くがコアグラーゼ陰性で,代表的なものとして表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)が該当します。黄色ブドウ球菌は病原性が強いのに対して,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のほとんどは病原性が弱いことで知られています。したがって,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌菌血症に対する対応は,黄色ブドウ球菌菌血症の診療バンドルとは異なったものになります。