執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:化膿性関節炎,結晶性関節炎,黄色ブドウ球菌,バンコマイシン(VCM),セフトリアキソン(CTRX),セフェピム(CFPM),感染性心内膜炎
Q. 偽痛風疑いの患者で化膿性関節炎を除外する方法を教えてください!
A. 何はともあれ,関節を穿刺しましょう。単関節炎の診断における定石であり,感染症を生じている場合には治療的効果もあります。
前回,しっかりと問診しないと化膿性脊椎炎を見逃しやすいというお話をしました。今回取り上げる化膿性関節炎も比較的見逃しやすい疾患です。というのも,関節は普段は服の下に隠れています。患者が関節痛を訴えるならまだしも,うまく関節痛の症状を訴えられない高齢患者が増えている昨今では,しっかりと服や靴下を捲るなり脱がせるなりして身体診察しなければ,関節の発赤や腫脹などを見逃してしまうことがよくあるのです。これは蜂窩織炎にも言えることですが,原因不明の発熱患者では服の上からだけで診察を済ませない,このことを今一度銘記していただければと思います。