執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:中枢神経感染症,原因検索,副鼻腔炎,中耳炎,感染性心内膜炎,シャント,肺動静脈瘻,卵円孔開存症,化膿性脊椎炎
Q. 中枢神経感染症を合併しやすい他部位の細菌感染症を教えてください!
A. 副鼻腔炎や中耳炎などの頭頚部感染症,感染性心内膜炎,化膿性脊椎炎などがあります。中枢神経量の抗菌薬が必要になることがありますので,経過が悪い場合には中枢神経感染症の合併を鑑別診断に挙げる必要があります。
前回は細菌性髄膜炎の治療を例に中枢神経感染症のお話をしました。特に髄膜炎では,画像検索による頭蓋内圧亢進症の否定,腰椎穿刺,培養検査,抗菌薬(とステロイド)の投与といった具合にやることが多いので,診療が少々慌ただしくなりがちです。慌ただしいとつい忘れがちなのが中枢神経感染症の原因検索とその治療です。原因の根絶なくして感染症治療の完遂も困難なことは,これまで何度も触れてきました。中枢神経感染症に先立つ他部位の細菌感染症としては,隣接部位からの感染(直接進展)と血行性感染の可能性を考えたいところですね。疾患別にみていきましょう。