執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:結核,非結核性抗酸菌症,乾酪壊死,マクロファージ,肉芽腫,抗酸菌ボトル,血液培養,低温培養,延長培養,病理組織検査,16SrRNA遺伝子検査,多剤併用療法
Q. 免疫不全者の結核・非結核性抗酸菌症で注意すべきことを教えてください!
A. 播種性感染症が起こることがあります。多彩なプレゼンテーションがあり,細胞性免疫障害を背景とする原因不明の発熱では鑑別診断に入れておきたいところです。
前回に引き続き,結核菌と非結核性抗酸菌の話題です。これまで免疫正常者でも当てはまりやすい事柄をお話ししてきましたが,今回は免疫不全者で問題になりやすい事項をまとめていきます。結核にしても,非結核性抗酸菌症にしても,しばしば診断や除外が難しいことがあります。かといって,こういった疾患のリスクのある患者で診断・除外のプロセスをすっ飛ばしてキノロン系やマクロライド系を使ってしまうと,さらなる診断の遅れや耐性化の問題を生じてしまうこともあります。何が厄介かと言えば,免疫不全者になると,この診断・除外のプロセスが免疫正常者よりも難しいのです。