第113回 アスペルギルス感染症では病型を意識するべし

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執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:肺アスペルギルス症,侵襲性肺アスペルギルス症,慢性肺アスペルギルス症,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症,宿主基準,臨床基準,微生物学的基準,ボリコナゾール(VRCZ),視覚障害,骨膜炎

 

Q. 肺アスペルギルス症の治療薬を教えてください!

A. 第一選択薬として,ボリコナゾールを覚えておきましょう。ほかにも代替薬がありますが,病型によって推奨が異なるので,その都度ガイドラインなどを確認するのがよいでしょう。

 

今回は肺アスペルギルス症を扱います。移植患者などの診療にかかわっていない場合は見かける機会が少ないかもしれませんが,知識として知っておくべきことをまとめたいと思います。医療従事者目線だと真菌はヒトに害を及ぼす病原体という認識があるかもしれませんが,実際のところはヒトの生活を支えて豊かにしてくれる真菌もいます。例えば,アスペルギルスの一部は醤油を作るための麹菌として必要不可欠で,Aspergillus oryzaeA. sojaeが該当します。一方で,ヒトに対して病原性を発揮するものにはA. fumigatusA nigerA. flavusA. terreusなどが含まれます。ここで挙げた菌名を覚える必要はないのですが,アスペルギルスとヒトとがさまざまな形で関係し合って生きていることは知っておいていただけると嬉しいです。 

 

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