第115回 日本でも見ることがある糞線虫感染症

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執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:糞線虫(Strongyloides stercoralis),蠕虫,九州南部,沖縄・奄美大島,経皮感染,自家感染,hyperinfection,イベルメクチン

 

Q. 糞線虫と他の蠕虫との違いを教えてください!

A. 大きな違いとして,自家感染します。つまり,ヒトの体内だけで繁殖できてしまいます。細胞性免疫障害が背景にあると爆発的に繁殖し,さまざまな細菌感染症を合併することがあります。

 

本連載で最後に扱うのは,寄生虫(蠕虫)に含まれる糞線虫です。日本で寄生虫と聞くと,単細胞の原虫であれば赤痢アメーバやトキソプラズマ,多細胞の蠕虫であれば回虫,蟯虫,アニサキス,日本海裂頭条虫(サナダムシ),エキノコックスなどをイメージされる方もいらっしゃるかと思うのですが,こういった寄生虫については先達が素敵な施設や書籍を残しているので,興味があればそちらをご参照ください注1。ただ,細胞性免疫障害の話をしていると,どうしても糞線虫の話題は避けたくないということで,寄生虫として例外的に取り上げるわけです。なお,ヒトに感染する糞線虫としてはStrongyloides stercoralisS. fuelleborniがいますが,今回は基本的にS. stercoralisを指すものとお考えください。

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