第1回 急性期の重症度見極めに役立つ

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佐藤 武揚(東北大学病院 高度救命救急センター)

 

眼前の患者が今まさに急変しそうなときには、初期評価として呼吸・循環・神経機能を、特別な器具を使わずに患者を見て、呼吸音を聴いて、皮膚や動脈を触って確かめます。その後に患者重症度を確かめるために血液ガス分析を行います。血液ガス分析は通常の血液検査より早く結果がわかります。

【症例1】
消化管術後急性期の患者です。術後夜間に不穏となり、せん妄状態のようです。
鎮静薬を使いましたが収まりません。SpO2が低下したために酸素投与をしていますが、マスクを嫌がってか、さらに症状が増悪しています。
鎮静薬を追加投与しましたが一向に収まる気配がありません。SpO2は100%あります。
業を煮やした看護師が上級医を呼んだところ、動脈血液ガス分析の指示がありました。

 FiO2    0.5 
 pH    7.22
 pCO2   85 mmHg
 pO2    100 mmHg 
 HCO3    28 mmol/L 
 呼吸数  10 /min

これをどう解釈しますか?

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