第11回 動脈血液ガス分析の実際―その検体は本当に動脈血なのか?

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佐藤 武揚(東北大学病院 高度救命救急センター)

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動脈血液ガス分析でpH、pCO2、HCO3、乳酸が評価できます。酸素化はパルスオキシメータでわかります。逆に言えば、パルスオキシメータでは上記の変化がわかりません。
さらにパルスオキシメータは循環不全・CO中毒・黄疸・低体温・ふるえ・マニキュアなどがあると正常に評価できません。そのような場合には動脈血液ガス分析をしましょう。
前回に引き続き症例を見ていきます。

【症例7】
症例は意識清明で、バイタルサインは安定しています。大腿部を穿刺して動脈血液ガス分析を行いました。著明な低酸素血症で臨床像と合致しません。
大腿部は動静脈が並走しており、静脈穿刺をしてしまったかもしれません。あるいは貫通して動静脈混合血を採取してしまったかもしれません。

 pH            7.365
 pCO2           
44.4 mmHg
 pO2          39.2 mmHg
 HCO3    23.6 mmol/L
 sO2          69.7 %
   乳酸                 2.5 mmol/L

動脈採血であるのかを、どうやって評価すべきでしょうか?

pHは7.40(7.35~7.45) 
pCO2は40 mmHg(35~45) 
pO2は80 mmHg(60~100) 
HCO3は24 mmol/L(22~26) 
乳酸は2 mmol/Lを上限

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