ケース10(解説編)頭痛を起こしやすい感染症

ブックマーク登録

執筆谷口 智宏(県立広島病院 総合診療科・感染症科部長) 
執筆協力米本 仁史(大和高田市立病院 感染症内科部長) 

(症例編はこちら

解説:マイコプラズマ肺炎

歴史

1930年代から、肺炎球菌による肺炎と比較して、非定型的な肺炎が報告されていた1)。発症は緩やかで、経過は軽度かつ長期にわたる傾向があった1)。病原体は不明であったが、この非定型肺炎はサルファ剤に耐性を示す点でも肺炎球菌性肺炎と異なっていた1)。1938年にReimannは、稀な形態の気管支肺炎と重度の全身症状を伴う7人の患者について報告し、その病態がインフルエンザウイルスや既知の細菌で見られるものとは異なることを観察し、原発性非定型肺炎(primary atypical pneumonia)と名づけた1)。Eatonらは、実験における病原体が、細菌を除去するフィルターを通過できる、濾過・回収可能な微生物であることを示し、Eaton因子として知られるようになった1)

第二次世界大戦中に非定型肺炎は肺炎の大部分を占めるようになり、1940年代に米国での伝播実験において、非定型肺炎の患者から得られた病原体を含むと思われる濾液が、人間の志願者に非定型肺炎を誘発できると結論づけた1)。Eaton因子は、1960年代に無細胞培地での病原体培養に成功し、マイコプラズマ属に分類され、Mycoplasma pneumoniaeと命名された1)

続きを読むには
無料の会員登録 が必要です。

こちらの記事の内容はお役に立ちましたか?