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解説:大塚篤司(近畿大学医学部皮膚科 主任教授)
前回はこちら
読むべき論文や資料が山積み! でも時間はない…。
「AIが代わりに読んで教えてくれたらいいのに」と思ったことはありませんか?
そんなとき役に立つのが、ChatGPTの「PDF読み込み機能」です。短時間で要約したりポイントを整理したり、膨大な情報の中から効率よく必要なものを把握することができます。近年は、より長い文章や複雑なレイアウト、図表の理解などが改善され、さらに実用性が高まってきました(ただし、PDF内の画像や図表、レイアウトの読み取り方は、利用プランやアップロードの方法によって異なります)。
ただし、生成AIが代わりに「読んでくれる」からといって、それだけで内容を理解し活用できるわけではありません。では、どのように使うべきか? 今回は、『医学界新聞』での対談記事「AI時代に問われる医師の在り方」(第3585号)を例に、PDFファイルの読み込みと要約、その活用を実演します。
※動画解説では「GPT-5.5」(ChatGPT Proプラン)を用いています。バージョンアップや仕様変更などにより、機能名称や画面表示などは動画の内容と異なる場合があります。また、PDFの読み込み機能や利用できるファイル形式は、利用環境によって異なることがあります。
※動画内で使用したPDFファイルのダウンロードはこちら。動画を見ながら実際に読み込んで、ご自身でも試してみてください。このPDFは4段組で写真や囲み記事もある複雑なスタイルですが、要点を効率よく抽出できる一例としてご覧ください。読み取り精度は文書や利用環境によって異なるため、必ず原文と照合してください。

はい、みなさん、こんにちは。近畿大学皮膚科の大塚です。今回はですね、PDF論文資料をChatGPTに読ませるという作業をしてみたいと思います。
もうすでにお使いの方は多いと思いますけれども、PDFとか論文資料をChatGPTに読ませて内容を抽出する、それから要約をすぐしてもらう、ということができます。実際には、最終的に原文を読む必要がありますけれども、事前に下ごしらえをするという意味で、「どこを重点的に読もうか」「自分が関心があるところはどこか」といったところを見ることができます。今回はPDFファイルとして、『医学界新聞』2026年5月12日に配布された第3585号を使わせていただきます。私・大塚と昭和医科大学横浜市北部病院消化器センター准教授・三澤(将史)先生との対談が掲載された「AI時代に問われる医師の在り方」、これを使おうと思います。
まず事前の注意としてお伝えしておきたいのですが、PDFファイルとか論文を読ませるときは著作権がありますので、このあたりは注意してください。ご自身で調べ物に使ったり、勉強するために使うというのはある程度許容される範囲もありますけれども、それを配布してどうこうとなりますと、あからさまに著作権に触れます。
今回は同じ医学書院さんのPDFファイルということで、おそらく後で怒られないんじゃないかなと勝手に思って医学書院のPDFファイルを使っています。担当の方がこれを見て「うわ、これ使ったか」みたいになるかもしれませんけど、多分これが公開されているということでセーフなんだと思います(笑)。
では、いきますね。まずPDFをここにドラッグしていくと、ドロップするだけでアップロードされます。プラスボタンを押さなくてもいけます(編集室註:PDFファイルをドラッグしていくと、自動的に「追加してみましょう 会話に追加するファイルをここにドロップしてください」の表示が出ます)。
でですね、プロンプトをどうするかですが、今回はこんな感じにしてみようと思います。
「このPDFを医療者向けに要約してください。以下の形式でお願いします。
1. 何についての文書か
2. 重要なポイント3つ
3. 臨床現場で関係しそうな点
4. 注意して読むべき箇所
5. 原文で確認すべきページや見出し」
では、やってみましょう。
はい、どうでしょうか。対談は私やったので内容覚えているので…。
あ、出ましたね。こちらになります。「1. 何についての文書か」、「AI時代の医師の在り方」ですね。
これは私が対談した内容です。その他にも盛りだくさんのボリュームです。ぜひみなさん、これを機会に『医学界新聞』をぜひ隅から隅まで読むようにしてください。私が読んでいないこともバレますが(笑)。
私と三澤先生の対談で重要な点は何でしょう?
•生成 AIは「医師を置き換える」より「医師能力を増幅する」
そうですね、そういう話しましたね。
• ChatGPT以降、AI活用が急速に進展している
• AIは単純作業・情報整理・コード生成には非常に有効
ではあるけれども、
• 最終診断や治療判断は依然として医師の役割である
• AIを使う人ほど能力差が広がります
ということで、「AIは格差を広げるツールにもなり得る」可能性があるとも言われています。
では、これを展開させましょうか。 続いての質問ですが、こんなのを準備しています。
「この内容を、研修医に説明する前提で、5分で話せる構成にしてください。
専門用語は残しつつ、初学者にも伝わるようにしてください。」
「この内容」をしぼりましょう。「大塚、三澤先生の対談」としておきましょう。
ではこれでいきましょう。これでテーマが絞られたはずです。
これに対しては、「導入」として「AI時代の医師の在り方についてお話します」。
「1.AIは“医師を強化する”」。
三澤先生はですね、日本初のAI内視鏡診断支援ソフト「EndoBRAIN」を開発した先生なんですね。この間、三澤先生のSNSを見ていたら国から表彰されて、AIのフロントランナーですね。三澤先生と私の対談、これ面白いのでぜひPDFを、医学書院にログインしたらアカウントを持っていたら見れると思います(編集室註:アカウント登録・閲覧ともに無料です)。
こんな感じで「1分」「1分30秒」という感じで、テーマが出てきます。
では、今度は別の形で行きましょうか。今度はこちら。
「この内容を、患者さん向けに説明する文章にしてください。
不安をあおらず、医学的に言いすぎない表現にしてください。」
これでどうなるかというと
「AIが医師の代わりになるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
…どうなんですか、これは(笑)。これは患者さんは別に不安に思わないかもしれないですね。はい。こういうところは、やっぱりChatGPTまだまだ人の気持ちが読めないというか状況が把握できないところですね。患者さんの立場からすると、別に「AIでも医師と同じくらいできるならいいじゃないの」と思うかもしれないですし、逆に(不安になるのは)お医者さんのほうですよね、「AIが医師の代わりになったら、われわれの仕事がなくなる」と思っちゃうので。 こういうあたりが、私の(プロンプトの)文章に引っ張られて、そのままストレートに、そういう状況はありえないけども、仮説として文章でそれを構成するうえで出てきちゃうというやつですね。
はい。そういうわけでですね、PDFとか表とか資料とか、そういったものをここにアップロードして内容を解説してもらうというふうな作業になります。これはやっぱりですね、「 読むポイントを押さえる」とか「要約する」ときに使うとかですね、自分が「どこを深く読んだらいいか」を見るために必要なものでして、これで全部わかるわけではないということで、必ず一次論文、一次情報に当たるということを忘れずにしてください。それからですね、最初にお伝えしたように、個人で使う分にはある程度許容されるところもありますが、「著作権」に関しては十分注意していただきたいと思います。 はい、今日は以上になります。ありがとうございました。
【今月のキープロンプト】
このPDFを医療者向けに要約してください。以下の形式でお願いします。
1. 何についての文書か
2. 重要なポイント3つ
3. 臨床現場で関係しそうな点
4. 注意して読むべき箇所
5. 原文で確認すべきページや見出し
…PDF読み込みでは、単に要約させるのではなく、プロンプトで「対象者」を明示し、必要に応じ「形式」を指定しましょう。上記は、自分自身が読むための「準備」になるよう、全体を把握しつつ効率よくポイントだけ押さえられるような形式としています。
さらには、
「この内容を、研修医に説明する前提で、5分で話せる構成にしてください。専門用語は残しつつ、初学者にも伝わるようにしてください。」
「この内容を、患者さん向けに説明する文章にしてください。不安をあおらず、医学的に言いすぎない表現にしてください。」
といったプロンプトにより、教育や情報共有の場面での活用も可能です。このように「対象者」を明示し、要約の方向性を指示することで、用途に応じた文章を作成できます。
ChatGPTは「読む代わり」ではなく「読む準備」に使おう!
一方で、AIは人の気持ちや状況を完全には理解できません。心理的な解釈や表現の微妙なニュアンスの理解には限界があります。患者さんの受け止め方を推測した回答などでは、実際の感覚とズレが生じる場合もあります。必ず原文を確認し、利用者自身が最終的な判断をする必要があります。
何より、AIによる要約だけで内容を理解したつもりにならないことが重要です。生成AIは全体像をつかんだり読むべきポイントを見つけたりするために用い、最終的には一次情報である原文を必ず確認する姿勢が欠かせません。 あくまでも、効率的に読むための“下ごしらえ”をする補助ツールとして活用しましょう。
【今回用いた生成AI】
◉ChatGPT
…今回は、「PDF読み込み機能」を解説しました。ただし、論文などの著作物を扱う際には、「著作権」への配慮が欠かせません。著作権や契約上の制限がある資料を生成AIにアップロードする際は、利用許諾、所属機関のルール、利用規約を確認してください。また、個人向けのChatGPTでは、設定によってアップロード内容がモデル改善に利用される場合があるため、データコントロールも確認してください。機密情報や個人情報を含む資料の取り扱いには十分注意が必要です。
※AI活用における「著作権」の問題については、ぜひ第4回もご参照ください。
◉Whisper
…OpenAI社による音声認識AI。高精度な文字おこしが可能です。上記の「AI文字おこし」にも活用しました(ほぼ句読点を追加しただけで、この完成度)。Whisperはオープンソースのため、多くのサービスが独自UIをつけて提供しています。今回リンクしたのは、AIモデルやデモを共有できるプラットフォームHugging Faceによる公式デモで、ファイルをアップロードするだけで出力されます。入力したデータの取り扱い(保存され学習に活用されるかなど)はサービスによって異なりますので、必要に応じ確認のうえ、個人情報や機密データには配慮しつつご活用ください。
(次回へつづく)
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おおつか あつし(近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授)
皮膚科専門医、アレルギー専門医。2003年に信州大学医学部卒業。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と、皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。著書に『まるごとアトピー』『皮膚科手技大全[Web動画付]』ほか多数。加えて、『医師による医師のためのChatGPT入門』が大ベストセラーとなりシリーズ化。『医師による医師のためのChatGPT入門2』『臨床研究を変える究極のプロンプト500選』『おーつか先生&看護師のかげさんの ChatGPT入門』『あっという間のAIスライド作成術』を次々上梓。熱狂的なB'zファン。