第9回 GPT-5.5でも間違える?―「ハルシネーション」をもっと減らす方法

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解説大塚篤司(近畿大学医学部皮膚科 主任教授)

前回はこちら

生成AIの答えをどこまで信じてよいのか? この回答は本当に正しいのだろうか?
ChatGPTの日進月歩の進化に伴い、誤情報をさも事実かのように回答してしまう「ハルシネーション(幻覚)」は、かなり減ってきました。しかし、それでも100%正確と言い切れない以上、安易にうのみするわけにはいきません。
では、先頃(2026年4月)公開された「GPT-5.5」では、どの程度ハルシネーションは減ったのでしょうか? ハルシネーションをさらに減らす具体的な方法を紹介しながら、動画で実際に試してみました。

【チャプター・概要】

  • 00:19 ハルシネーションはどこまで減ったか?
  • 00:40 実演①:ハルシネーションを減らすプロンプト
  • 03:13 実演②:誤りがないか確認するプロンプト
  • 04:59 ハルシネーションをもっと減らすプロンプトまとめ

※動画解説では「GPT-5.5」(ChatGPT Pro)を用いています。バージョンアップや仕様変更などにより、機能名称や画面表示などは動画の内容と異なる場合があります。

 

みなさん、こんにちは。近畿大学皮膚科の大塚です。今回はですね、「ChatGPTの答えをどこまで信じたらいいか―ハルシネーションとの付き合い方」ということで、またハンズオンでやってみたいと思います。

これはChatGPTの最新版(2026年5月現在)の画面になりますけれども、まず最初に私のほうから、現段階での「ハルシネーション(間違い)」の感覚を話しますと、ほとんど間違いがないところまで来ちゃってるなという印象です。
みなさんご自身の分野で確認してもらうのが一番いいかなと思いますので、ちょっと試しにですね、私が一回、自分の分野で確認しようと思います。はい、今日はこちらですね。

「次のテーマについて、医療者向けに要点を整理してください。 ただし、確実な情報と不確実な情報を分けてください。また、確認すべき一次情報も挙げてください。テーマ:アトピー性皮膚炎の最新治療の考え方」

という内容です。これだけしっかり前提条件として書いておけば、もうAI、ChatGPTはほとんど間違いがない感じで出してくれるんじゃないかなと思います。ちょっとやってみましょう。

最近のAIはですね、ウェブ検索モードで、こういう感じで「ウェブを検索しています」と、これを出してくれるので、そうなるとほとんど間違えないんじゃないかなと思います。ですので、今みたいな「ウェブを検索しています」というのが出るかどうかというのが、一つ大きいポイントかと思います。デフォルトの設定はウェブ検索になっていると思いますので、みなさん出ると思いますが、万が一出なかった場合は設定を変えなければいけませんので、ウェブ検索をできるように、調べて修正してください(編集室註:利用環境によっては、ウェブ検索モードでも「ウェブを検索しています」と表示されない場合もあります。確実な「ウェブ検索」モードの使い方は第3回をご参照ください。また「設定」変更の方法は、本記事にて後述しています)。 

内容はこちらですけれども、「アトピー性皮膚炎(AD)の最新治療の考え方」ですね。 「まず押さえるべき‘‘確実性の高い情報’’」が出ていますね。 内容を見てみますと、今のところは大丈夫ですね。薬の名前も今回は間違っていないですね。 英語で出ているので間違いは少ないですけれど、日本語で書いているときは薬剤名が間違っていたり、一般名が間違っていたりすることがありますのでご注意ください。これもいいですね。 「バリシチニブ(baricitinib)」が足りないですね。ちょっと漏れがある感じですかね。不確実性(が残る情報)ですね、これも大丈夫そうですね。 大きい間違いはなさそうです。ただ1カ所、今バーッと見て気づいたのは、すべての薬剤が網羅されているわけではない、ということかと思います。 

もうちょっと深掘りしたい場合は、さらに追加でこんな感じでプロンプトを打ってみます。

いまの回答のうち、誤りが入りやすい部分を指摘してください。また、実際に使う前に確認すべき項目をチェックリストにしてください。」

いきましょうか。ここまで念入りにやれば、ChatGPTもいけると思います。一次情報に照らして、もう1回チェックしてくれますね。
AIは同じスレッド、チャットで質問のファクトチェックをやり始めると、ちょっと精度が落ちることがあるんですけれども、だから他のAIに切り替えたほうが間違いは見つけやすいと思います。ただ、ChatGPT-5.5になってからだいぶん賢くなったので、そういう意味ではこういう感じで、同じチャットの流れで質問しても、ちゃんと回答は出てくると思います。
誤りが入りやすい点」ですね。このへんはですね、一番上の、「『最新治療=全員に生物学的製剤/JAK阻害薬』ではない」これは回答が間違っているというよりも、誤解をしないように専門家向けにしっかりとした説明になっていますね。ここらへんは全部よさそうです。チェックリストも書かれています。

そんな感じでですね、まず根拠を示させるというところは1つ重要かなと思います。「不確実な点、わからなければ、わからないと言って」とか「確実なところと不確実なところを分けて」とか、さらに「その情報の根拠のリンクを見せて」とか、そういう形でAI、ChatGPTに出力させることで、ハルシネーションを防ぐ方法がいいかなと思います。今、私が見た限りではほぼ間違いがなくて、薬剤が1つだけ日本で適用のあるものが落ちている程度でしたので、「ウェブで検索する」モードが入っていれば間違いはあまり出てこないんですけれども、それでも100点の答えを出そうとする場合は、一次情報を出してもらう、AIに「わからないところは、
わからないと言って」とちゃんとプロンプトを入れておくというのが大事かなと思います。はい、今日は以上です。 


今月のキープロンプト&キーポイント

確実な情報と不確実な情報を分け、それぞれ一次情報(根拠)を挙げてください。
わからないことは「わからない」と言ってください。
回答をChatGPTにセルフチェック、または他の生成AIにチェックさせよう。

…今回の実演では、「アトピー性皮膚炎の最新治療の考え方」をテーマに、ChatGPTへ「医療者向けに要点を整理する」「確実・不確実な情報を分ける」「一次情報を提示する」という条件を加えて質問しました。すると、回答の精度は非常に高く、大きな誤りは見られませんでした。しかし一方で、重要な薬剤が1つ抜けていたり、「間違いではないが不完全な回答」が存在することも確認できました。

生成AIを安全に活用するためには、確実・不確実な情報を分け、一次情報(根拠)を提示させる、わからなければ「わからない」と言うよう指示する、といったアプローチが有効です。また、ChatGPTの回答の正確性を他の生成AIに確認してもらう、という方法も有効です。その際には、その回答について誤りやすい部分を指摘させる、実際に使う前に確認すべき項目のチェックリストをつくらせる、といった工夫も役立ちます。

AIは優秀かつ便利なツールですが、最終判断と確認は利用者自身が行う必要があります。特に医学・医療といった正確性が求められる分野では、AIの回答を「そのまま信じる」のではなく、「根拠を示してもらい、確認しながら使いこなす」という姿勢が重要です。

今回用いた生成AI

ChatGPT
…本連載の第3回では、意図的に「ウェブ検索」モードに設定する方法を解説しました。現在は、必要に応じてChatGPTが自動的にウェブ検索を行うほか、入力欄のツール(+ボタン)から「ウェブ検索」を選択して明示的に検索させることもできます。「設定」の「パーソナライズ」において、カスタム指示に「ウェブ検索が可能な場合は検索してから回答し、一次情報も示してください」と入力しておくのも一手です(ただし、常にウェブ検索が実行されることを保証するものではありません)。

大塚先生の「GPT-5.5」を使ってみた感想は、第8回をご参照ください。

Whisper
…OpenAI社による音声認識AI。高精度な文字おこしが可能です。
上記の「AI文字おこし」にも活用しました(ほぼ句読点を追加しただけで、この完成度)。Whisperはオープンソースのため、多くのサービスが独自UIをつけて提供しています。今回リンクしたのは、AIモデルやデモを共有できるプラットフォームHugging Face上のデモで、ファイルをアップロードするだけで出力されます(前回紹介したのはWhisper Web UIでした)。入力したデータの取り扱い(保存され学習に活用されるかなど)はサービスによって異なりますので、必要に応じ確認のうえ、個人情報や機密データには配慮しつつご活用ください。

次回へつづく

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おおつか あつし(近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授)
皮膚科専門医、アレルギー専門医。2003年に信州大学医学部卒業。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と、皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。著書に『まるごとアトピー』『皮膚科手技大全[Web動画付]』ほか多数。加えて、『医師による医師のためのChatGPT入門』が大ベストセラーとなりシリーズ化。『医師による医師のためのChatGPT入門2』『臨床研究を変える究極のプロンプト500選』『おーつか先生&看護師のかげさんの ChatGPT入門』『あっという間のAIスライド作成術』を次々上梓。熱狂的なB'zファン。

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