第5回 葛根湯(ステップ編)―上半身のこわばる・つまる症状に葛根湯 
吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

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葛根湯(かっこんとう;ツムラNo.1)は,麻黄(まおう),桂皮(けいひ),葛根(かっこん),芍薬(しゃくやく),生姜(しょうきょう),大棗(たいそう),甘草(かんぞう)の7つの生薬から構成されます()。麻黄と桂皮は協働で発汗を促します。一方,芍薬は過度の発汗を防ぐ作用があるとして,ブレーキの働きをします。この芍薬が含まれることが風邪に葛根湯を幅広く用いても間違いが少ない,バランスのとれた漢方薬といえる理由です。

インフルエンザの治療によく活用される麻黄湯(まおうとう;No.27)は,麻黄と桂皮は共通ですが芍薬が含まれず,葛根湯より発汗作用の強い漢方薬といえます()。

また葛根湯に含まれる葛根と芍薬には筋緊張を緩める働きがあり,項背部のこわばりに対応します。さらに葛根湯は上半身の炎症を改善させる作用があり,急性副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎(鼻閉型),扁桃腺炎,結膜炎,乳腺炎などの急性疾患に対しても用いることができます。さらに整形外科領域の肩こり,頸肩腕症候群,肩関節周囲炎や筋緊張性頭痛にも応用可能です。

 

 

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