第11回 補中益気湯(ステップ編)―補中益気湯をさらに詳しく知る 
吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

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補中益気湯(ほちゅうえっきとう;ツムラNo.41)の構成生薬は、不足した気を補う作用のある人参(にんじん)や黄耆(おうぎ)などに加え、弛緩した筋トーヌスを引き締める作用〔升堤(しょうてい)作用〕をもつ柴胡(さいこ)・升麻(しょうま)が含まれることがポイントです()。このため、補中益気湯の投与目標である「四肢がだるい」「眼に力がない」「声が弱々しい」などは、筋トーヌスが弛緩した結果、現れる徴候であるといえます。そのため添付文書には、胃下垂、脱肛、子宮下垂といった臓器の弛緩により生じる病態が補中益気湯の適応として記載されています。筆者が地域医療に従事していた際、夏ばて、介護疲れ、葬儀や初盆などのイベント後の疲労などにも補中益気湯をよく活用しました1)

 

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