漢方では、生体内を循環する無色透明の液体を「水(すい)」といいます。その水が生体内で偏在している病態を水毒(すいどく)または、水滞(すいたい)と呼びます。浮腫、胸腹水、水様性鼻汁、下痢などのほか、頭痛、めまい、立ちくらみ、嘔気、体が重だるいなどが水毒と関連が強い症状です。水毒による症状は、雨天(特に雨降り前)や低気圧の接近により悪化するという特徴があります。水毒の他覚的所見には、舌の腫大・歯痕(舌が浮腫んで腫れぼったくなり、辺縁に歯の痕がつくこと)、心下振水音〔しんかしんすいおん:心窩部(漢方では「心下」という)を指でスナップをきかせて叩くとチャポチャポとした音がすること〕があります。
生体の水の偏在、水分バランスを調整して、水毒を治療する漢方薬を「利水剤(りすいざい)」といいます。五苓散(ごれいさん;ツムラNo.17)は代表的な利水剤です。