五苓散(ごれいさん;ツムラNo.17)は桂皮(けいひ)に加え、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)、朮(じゅつ)といった生体の水分代謝を調整する利水作用のある生薬で構成されます(図)。五苓散の現代薬理学的な作用として、細胞膜の水分子選択的な通過孔であるアクアポリンという水チャネルの機能を調整することが示されています1)。アクアポリンは腎臓を中心に全身の臓器に存在し、水の選択的透過にかかわっており、浮腫、頭痛、嘔気、下痢、めまい、二日酔い、暑気あたりなど、さまざまな水毒(すいどく)による症状に活用されている五苓散の薬理作用が解明されつつあります。