第21回 六君子湯(ジャンプ編)―六君子湯から次の一手 
吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

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六君子湯(りっくんしとう;ツムラNo.43)は胃薬といったイメージが強いですが、気虚(ききょ)の症状には、食欲不振以外にも、全身倦怠感、疲れやすい、活気がない、日中の眠気などが含まれます。六君子湯がうつ病患者のSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)誘発性の消化器症状と抑うつスコアを改善させたという報告1)や、抑うつ状態を合併する上腹部不定愁訴に対してスルピリドと同等の抗うつ効果があったとする報告2)などがあり、「気(き)」を補うことで、精神心理面に対する効果も期待できます。

以上から、六君子湯を処方するときは、食欲不振や上部消化器症状以外の気虚の症状、精神心理面に対する効果も確認しながら、効果判定を行うとよいでしょう。ジャンプ編では、六君子湯のさらなる活用として、次の一手、エビデンス、鑑別処方を解説します。

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