第25回 抑肝散(ホップ編)―抑肝散は「怒り」をサインに投与する
吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

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抑肝散(よくかんさん;ツムラNo.54)は、肝の高ぶりを調整して、怒りを鎮める作用のある漢方薬です。漢方での肝は、現代医学の肝臓(liver)ではなく、感情を調整する働きをもつ臓器です。肝は特に怒りとの関連が深く、肝が高ぶると、怒りっぽくなる、イライラする、大声を出す、不眠などの症状が出現します。近年、抑肝散は、いくつかのランダム化比較試験1, 2, 3, 4)において認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に対する有効性が報告され、その治療薬として知られるほど広く活用されています。『認知症疾患診療ガイドライン2017』5)においてもレビー小体型認知症のBPSDに対して、推奨度「実施することを提案する」と弱い推奨として掲載されています。

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