抑肝散(よくかんさん;ツムラNo.54)は、怒りを背景に過緊張状態が持続した結果として出現するさまざまな症状に用いることができます。問診や診察時の印象などから患者の怒りを感じる場合は、抑肝散の適応だとわかりやすいのですが、現代の日本人は診察室では怒りの感情を表出しない、または本人も「怒り」を自覚していないケースも多くあります。そのような「内に秘めた怒り」を見逃さないように注意します。
眼瞼痙攣、歯ぎしり、貧乏ゆすり、チックなどの不随意運動なども「内に秘めた怒り」、すなわち「肝の高ぶり」のサインとして、抑肝散の投与目標となり、それらが抑肝散を投与することで軽減することをしばしば経験します。また、舌を診察すると、舌を口唇からあまり出さない傾向(舌呈示不良;写真)と、舌が細かに震えること(舌の振戦)も「内に秘めた怒り」のサインとして注目されています1)。さらに、診察が終わるや否や、診察室を出ていってしまうような患者も「せっかちな性格」として、抑肝散の投与目標となるでしょう。ジャンプ編では、抑肝散のさらなる活用として、次の一手、エビデンス、鑑別処方を解説します。


