吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)
Answer
診察や問診では判断できない,程度の軽い冷えの有無を確認するためには,大建中湯に対する味覚が重要です。大建中湯に対して「辛味を強く感じる」「最初は甘かったが,だんだん苦くなってきた」という場合は減量・中止する目安になります。
前回,大建中湯(だいけんちゅうとう)は腹部の冷えがある場合に適応となり,「冷たいものを飲むと下痢をする」などの問診結果や,触診での臍周囲の他覚的な冷感が投与目標になること,また腹部の冷えの徴候がなくなったら減量・中止の目安になることを解説しました。ただし,問診や腹部の診察では判断できない,程度の軽い冷えがあるケースもあります。その場合に着目してほしいことが大建中湯に対する「味覚」です。