(前回から続く)
執筆:徳増 一樹
岡山大学病院 総合内科・総合診療科 講師、研究准教授
アウトカムではなく「プロセス」の確実性を高める
コロナ後遺症(新型コロナウイルス感染症罹患後症状)、いわゆるLong COVIDは、病態も治療法もわかっていない部分が多く、その意味で「不確実」な領域と言えます。通常治療をどうするか、自分ひとりで悩みを抱えている医師も多いのではないでしょうか。
私が初めてコロナ後遺症の患者さんに出会ったのは、2020年にCOVID-19が日本国内に入ってしばらく経ってからのことです。原因不明の倦怠感や疲れやすさのために、それまでできていたいつもどおりの生活が急にできなくなって、心身ともにつらい状態に置かれていました。私自身、どのように治療を進めていけばよいかと悩みました。
コロナ後遺症は不確実かつ未知の病です。「総合診療」という分野はまさに、その不確実性に向き合っていかなければならないと思っています。
では、その「医療の不確実性」に、どう向き合っていけばよいのでしょうか? 私には、以下の言葉が非常に参考になりました。
医学におけるたくさんの不確実性がある中で、私たちがアウトカムに対して確実さを求めるという願望(「病院へ送るのではなく、家で治療してもこの患者は大丈夫か?」)から、プロセスに関してより確実性を持つというより謙虚な目標に変えることで、より効果的に対処できるようになるように思われる。私たちが用いているプロセスが強固なものである場合に限り、不確実性を取り扱うプロセスは信用に値する。医師は治療のアウトカムに紐づいて、フィードバックに応じて、計画も変更されうる。つまり臨床マネージメントが状況に応じて変化する。(中略)これはプロセスの確実性を増し、私たちが不確実なものにより簡単に耐えられるようにしてくれる。 〔文献1)、p.6より〕
これは、『医療における不確実性をマッピングする』(原題:Mapping Uncertainty in Medicine)1)という書籍の中の一節です。ここに書かれているように、「医療の不確実性」にどう向き合うかは、そのプロセスに確実性を求めるのがよいのではないか、と考えるようになりました。
「アプローチプロセス」の確実性を高める7つのステップ
コロナ後遺症といった不確実な事柄に対しては、原因究明・治療効果といった「アウトカム」に対してではなく、「プロセス」に確実性を求めるという方略をとるとよいでしょう。私は今までの臨床経験を通じて、以下のようなアプローチプロセスを踏んでいます2)。