検査は異常なし——。原因・病態は不明——。
コロナ後遺症で最も多い「倦怠感」をどう診ればよいのか?
“チーム岡大総診”の「コロナ・アフターケア外来」5年間の経験・実績から、
その総合診療的アプローチの実際を紐解きます。
企画:大塚勇輝(岡山大学病院 総合内科・総合診療科 助教)
監修:大塚文男(同上 診療科長、岡山大学学術研究院医歯薬学域 総合内科学 教授)
【毎月1回木曜配信】
倦怠感は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)罹患後症状、いわゆる「コロナ後遺症」において、最多を占める症状です1)。加えて、鑑別疾患は全身・多臓器にわたり、検査異常を伴わず客観視や定量化が難しいことも多く、特に診療に難渋する症状の1つと言えます。しかし、厚生労働省による「診療の手引き」において、その他の罹患後症状については一定の解説がなされる一方で、倦怠感に関する記述は十分と言えないのが現状です。
岡山大学病院 総合内科・総合診療科では、2021年2月、全国に先駆けて「コロナ・アフターケア(CAC)外来」が設立されました2)。2026年で開設5年目を迎え、この間に約1,300人の患者さんをチームで診療してきたと言います3)。大塚文男教授のもと10 年以上にわたって不明病態の診療・研究に取り組んできた経験を活かし、中四国・西日本におけるハブとして、県内外の医療施設とも連携しながら、チーム一丸となったコロナ後遺症の診療・研究・教育を展開しています。
そこで本連載では、同科における診療経験や研究成果を交えつつ、多様なバックグラウンドをもつ医師たちが、どのように「倦怠感」に向き合い、何を考えながら診療を行っているのか、その“頭の中”を紐解いていただきます。倦怠感の診療には、生物的側面にとどまらず、心理・社会的側面も重視した「全人的医療」が求められます。それぞれの得意分野を活かした“チーム岡大総診”の総合診療的アプローチには、コロナ後遺症はもちろん、広く「倦怠感」の診療にも参考になるところがあるに違いありません。(編集室)

岡山大学病院「コロナ・アフターケア(CAC)外来」におけるコロナ後遺症の症状と人数
(2021年2月15日〜2026年1月30日)3)
【文献】
1)岡山県:専門外来受診者の罹患後症状に関するデータ. 新型コロナウイルス感染症罹患後も続く症状(罹患後症状、いわゆる後遺症)にお悩みの方へ(随時更新)
2)岡山大学:岡山大学病院に「コロナ・アフターケア外来」を開設. 岡山大学(プレスリリース), 2021
3)岡山大学:国内先駆けの「コロナ・アフターケア外来」開設から5年ー診療実績から見えてきたコロナ後遺症の課題と予後. 岡山大学(プレスリリース), 2026
【今後の掲載予定】※内容や掲載順は変更となる可能性があります。
第1回:なぜ「倦怠感」が重要か―連載にあたって(大塚勇輝)
第2回:<総論>総合診療医にとってのコロナ後遺症との向き合い方(大塚文男)
第3回:コロナ後遺症という医療の不確実性に向き合う(徳増一樹)
第4回:倦怠感に隠れた他疾患の鑑別と内分泌的視点での研究(中野靖浩)
第5回:患者中心の医療の方法を用いたコロナ後遺症への対応(横田雄也)
第6回:漢方で考えるコロナ後遺症(植田圭吾)
第7回:リハビリテーション視点での介入(大野洋平)
第8回:仕事への影響と就労支援(松田祐依)
第9回:ウイメンズヘルス、思春期、精神症状など(櫻田泰江)
第10回:若手/専攻医の視点から入院症例を経験して(副島佳晃)
※岡山大学病院「コロナ・アフターケア(CAC)外来」とは
岡山大学病院総合内科・総合診療科(学術研究院医歯薬学域・大塚文男教授)が主体となって、2021年2月15日に国内の総合病院として全国で2番目に設立された。開設5年間で、県内外からの紹介で約1,300人の患者さんを受け入れてきた。診療に限らず、症状の多様性や変異株による症状の変化、後遺症のリスク因子や予後など、コロナ後遺症の実態を明らかにするとともに、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)や体位性頻脈症候群(POTS)との関連性、酸化ストレス指標を用いた病態の可視化など、実臨床の視点での多角的な研究にも取り組んできた。 単一臓器では説明できない複雑な症状に対し、総合診療医の視点と、さまざまな専門領域と連携した診療・研究によって、地域で支える医療モデルの構築も進めている。
※多数の研究成果はこちら

『総合診療』2026年2月号
特集「COVID-19罹患後症状の実態ー現場の医療者はどう患者に向き合っているか?」
Editorial:COVID-19罹患後症状(long COVID)に向き合う医療者へ(片山皓太 、徳増一樹)