
天野 雅之(南奈良総合医療センター総合診療科)
杏奈)飛鳥先生! 臨床現場では技術を直接教えてくれる人だけでなく,学ぶ機会を与えてくれたり,キャリアの相談に乗ってくれたりする人の存在も大きいことに気付きました。こうした“支える人の役割”は,どう整理すればいいですか?
飛鳥)良い気付きだね。学習者の成長を支える人を「メンター(mentor)」と呼ぶ。まずはメンターについて深掘りしてみよう!
■サクッと解説!今週の仕事術
医学教育におけるメンターの4つの役割
飛鳥)メンターは,学習者と意図的に関係を築き,キャリア支援と心理社会的支援の両面で長期的に伴走する存在だ。Chopraら1)はメンターの役割を4つに分類している。
【①伝統的メンター(Mentor)】
長期的な関係のなかで,キャリアと人間的な成長の両面を支える存在。
師匠と弟子の関係で,メンター側が要する労力や時間が大きい。
【②コーチ(Coach)】
特定のスキルや課題に焦点を当てて,パフォーマンスの改善を支援する存在。
伝統的メンターより短期的・集中的に関わる。
【③スポンサー(Sponsor)】
自身の影響力を使って,学習者を重要な機会につなげてくれる存在。
発表の機会の推薦や委員会への推薦などがこれにあたる。
【④コネクター(Connector)】
豊富なネットワークを活用して,学習者に適切な伝統的メンター,コーチ,スポンサーを引き合わせてくれる存在。
杏奈)キャリア相談に乗ってくれる人と,手技のコツを教えてくれる人と,学会発表の機会を与えてくれる人は,同じ場合もあれば違う場合もありますよね。
飛鳥)その通り。Chopraら1)は,伝統的メンターは導き(guides),コーチは改善し(improves),スポンサーは推薦し(nominates),コネクターは力を与える(empowers)」と整理している。1人の指導者がすべての役割を担わなくてもよいんだ。
杏奈)これを知っていると,学習者としても「いま自分に必要なのはどの支援か」を考えて,適切な人に相談しにいけますね。
■さっそく実演!
臨床現場でのメンター
飛鳥)では,今回は架空の研修医Aさんに登場してもらおう。Aさんが学生時代からお世話になっているB先生という存在がいたとすれば?