第2回 犬は“家族”か? なぜ“家族”になったか?
――「さくらの里 山科」「いたばし犬部」

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前回よりつづく
 「文福」を初めて知ったのは、NHKのドキュメンタリー番組「“看取り犬”とワンダフルライフ」だった1)。中型の雑種犬である文福は、「さくらの里 山科」(神奈川県横須賀市)という特別養護老人ホーム(以下、特養)に住んでいる。入居者の死が近づくと、なぜだか最初に文福が察知するらしい。悲しそうな様子でその人の居室の前に座り込み、死の直前にはベッドにのぼってその人を看取るという。
 番組では他にも、自分の愛犬や愛猫と暮らす入居者たちのエピソードが紹介されていた。特養は、中度~重度の要介護者が入所する介護施設だ。もう少し自立した高齢者が入居する、サービス付き高齢者向け住宅などでは、ペットと暮らせる施設をみかけるが、あくまで個室内の飼育となっている。さらに重度の介護が必要となる特養となると類を見ない。人生の終末期を迎える高齢者にとって、かけがえのない“家族”であるペットと入居できる「さくらの里 山科」は、奇跡的な存在だ。

  

不審者かどうか文福にチェックされるわたしたち。  

 

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