第85回 関節炎の裏に潜む性感染症

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:播種性淋菌感染症,性交歴,セフトリアキソン(CTRX),クラミジア,HIV,肝炎ウイルス

 

Q. 多関節炎の診断における注意点を教えてください!

A. 単関節炎と比べると膠原病が多いのですが,最初から感染症を除外しないことが大切です。感染性心内膜炎だけでなく,播種性淋菌感染症などの性感染症にも注意しましょう。

 

前回は化膿性関節炎に関するお話でしたが,そのなかで播種性淋菌感染症にも少し触れました。実は,関節炎の鑑別診断において,淋菌をはじめとする性感染症の話題を避けては通れません。この連載では,抗菌薬のスペクトラムを習得するという意味で,細菌をグラム陽性球菌,グラム陰性桿菌,嫌気性菌の3つのグループに分類する方法をお勧めしてきましたが(第2回参照),淋菌はグラム陰性球菌で,このグループ分けからは外れてしまいます。せっかく播種性淋菌感染症の話題を提供する以上は,淋菌そのものにも少しだけ触れたいと思います。  

 

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