第86回 人工関節感染症の治療レジメンも複雑

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:人工関節感染症,debridement, antibiotics, and implant retention(DAIR),一期的再置換術,二期的再置換術,キノロン系,リファンピシン(RFP),バイオフィルム

 

Q. 人工関節感染症に対していつまで抗菌薬を使えばよいか教えてください!

A. 術式によって大きく異なります。例えば,よく行われるDAIRの場合は,術後3~6カ月は抗菌薬治療が必要とされていますが,人工関節切除術や下肢切断術の場合はせいぜい数週間程度です。

 

超高齢社会の日本では,転倒などに伴う骨折がよくみられ,その治療として人工関節を用いている人がたくさんいます。第84回第85回は関節炎を取り上げましたが,これらは自己関節(native joint)を念頭に置いた内容でした。今回は人工関節感染症(prosthetic joint infection)の話題です。ただし,やや高度な内容です。細かい知識を暗記する必要はなく,自己関節と人工関節とでは感染症への対応が全然違うということを覚えておいていただきたいなと思います注1

 

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