第114回 HIV感染症の有無次第なクリプトコッカス感染症

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執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:Cryptococcus neoformansC. gattii,肺クリプトコッカス症,播種性感染症,中枢神経,細胞性免疫障害,ヒト免疫不全ウイルス(HIV),クリプトコッカス抗原,フルコナゾール(FLCZ),アムホテリシンB(AMPH-B),フルシトシン(5-FC)

 

Q. 肺クリプトコッカス症の治療法を教えてください!

A. まず,中枢神経病変など播種性感染症を合併していないかを確認しましょう。それが除外できたらフルコナゾールで治療しますが,治療期間が6カ月以上と長いです。

 

クリプトコッカスは真菌のなかでは酵母に分類され,臨床的にはCryptococcus neoformansC. gattiiが重要です。ただ,日本で遭遇するクリプトコッカス感染症のほとんどがC. neoformansによるものなので,こちらを中心に話を進めていきます注1。クリプトコッカスは土壌中に生息しており,ハトなどの鳥類の糞に含まれた病原体を吸い込むことで肺に感染症を起こし,時に播種性感染症として中枢神経や皮膚軟部組織に病変をつくることもあります。ノカルジアによる肺病変をみた際には中枢神経病変がないかを疑うよう以前述べましたが(第109回記事参照),クリプトコッカスでも同様の注意が必要です注2

 

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