佐藤 武揚(東北大学病院 高度救命救急センター)
(前回はこちら)
■前回までのまとめ
血液が酸性なら酸(CO2)が溜まっているのか、アルカリ(HCO3-)が減っているのかをみます。
アルカリが減るのはCO2以外の不揮発酸の貯留を反映しており、乳酸・ケトンなどの過剰が考えられます。
アルカリ性なら酸(CO2)が減るか、アルカリ(HCO3-)が増えています。
HCO3-が増加していた場合、ある程度以前から上昇していた可能性があります。
それでは、第1回目でも簡単に紹介した症例1を詳しくみてみましょう。
【症例1】
消化管術後急性期の患者です。術後夜間に不穏となり、せん妄状態のようです。
鎮静薬を使いましたが収まりません。SpO2が低下したために酸素投与をしていますが、マスクを嫌がってか、さらに症状が増悪しています。
鎮静薬を追加投与しましたが一向に収まる気配がありません。SpO2は100%あります。
業を煮やした看護師が上級医を呼んだところ、動脈血液ガス分析の指示がありました。
pH 7.22
pCO2 85 mmHg
pO2 100 mmHg
HCO3- 28 mmol/L
呼吸数 10 /min
これをどう解釈しますか?
pCO2は40 mmHg(35~45)
pO2は80 mmHg(60~100)
HCO3-は24 mmol/L(22~26)
乳酸は2 mmol/Lを上限