第5回 実際に血液ガス分析を評価してみよう(1)

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佐藤 武揚(東北大学病院 高度救命救急センター)

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■前回までのまとめ

 動脈血液ガス分析ではまずpHを評価します。
 血液が酸性なら酸(CO2)が溜まっているのか、アルカリ(HCO3)が減っているのかをみます。
 アルカリが減るのはCO2以外の不揮発酸の貯留を反映しており、乳酸・ケトンなどの過剰が考えられます。
 アルカリ性なら酸(CO2)が減るか、アルカリ(HCO3)が増えています。
 HCO3が増加していた場合、ある程度以前から上昇していた可能性があります。


それでは、第1回目でも簡単に紹介した症例1を詳しくみてみましょう。

【症例1】
消化管術後急性期の患者です。術後夜間に不穏となり、せん妄状態のようです。
鎮静薬を使いましたが収まりません。SpO2が低下したために酸素投与をしていますが、マスクを嫌がってか、さらに症状が増悪しています。
鎮静薬を追加投与しましたが一向に収まる気配がありません。SpO2は100%あります。
業を煮やした看護師が上級医を呼んだところ、動脈血液ガス分析の指示がありました。

 FiO2    0.5 
 pH    7.22
 pCO2   85 mmHg
 pO2    100 mmHg 
 HCO3  28 mmol/L 
 呼吸数  10 /min

これをどう解釈しますか?

 pHは7.40(7.35~7.45)
 pCO2は40 mmHg(35~45)
 pO2は80 mmHg(60~100)
 HCO3は24 mmol/L(22~26)
 乳酸は2 mmol/Lを上限

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