【第15回】エラー症例4 腹痛ケース 
2)2度目のエラー診断とシステム・状況要因(窪田忠夫)

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執筆:窪田忠夫(沖縄県立中部病院外科) 

前回、混雑する救急外来に救急搬送された患者(89歳女性、嘔吐・腹痛)を担当した2年目初期研修医Aは、ウォークインの患者と並行して診療しながら暫定的に「胃腸炎」と診断し、かかりつけ医に上部消化管内視鏡検査の検討を依頼する紹介状を書いて帰宅させたが…。

■施設へ戻ってからの経過

 患者は老健施設への帰宅後は就寝し、職員の観察した範囲では翌日も午前中は特別変わった様子はなかった。しかし正午過ぎに職員が見に行くと(普段はある程度会話が成り立つ)、ボーっとしており「刺身を切りなさい。おでんはないのか?」と言ったり、ティッシュペーパーを食べようとしたりするなど、意味不明の言動がみられた。さらに15時過ぎに再び職員が訪れた際、血便があったため救急車を要請し、17時過ぎに当院を再受診した。再来院症例であったので、初期研修医ではなく内科当直医(専攻医)Cが診察を担当した。

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