執筆:宮川 峻(浦添総合病院病院総合内科)
前回、70代男性が他院より腹部大動脈瘤破裂で紹介救急搬送になり、緊急ステントグラフト内挿術(EVAR)を施行したが、集中治療室帰室直後にST上昇型心筋梗塞(STEMI)を発症し、冠動脈造影検査(CAG)で右冠動脈の梗塞を認め緊急経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行った。PCI後の血液検査確認時に、改めて前医からの胸腹部CT検査画像を再度確認したところ…。
■エラー診断❷ーCT画像を見直して映っていたもの
PCI施行6時間後のCK(クレアチニンキナーゼ)値フォローアップ時には、CK値はピークアウトしていた。心筋梗塞の急性期管理としては経過良好と判断できたため、包括的な情報収集の一環で前医にて施行された胸腹部CT検査画像を再度確認したところ、肺の右上葉に壁の厚みが1~2mm程度の空洞影を認めた(図1)。