第23回 半夏厚朴湯(ステップ編)―半夏厚朴湯をさらに詳しく 
吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

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半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう;ツムラNo.16)は、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、茯苓(ぶくりょう)で構成される小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう;ツムラNo.21)に蘇葉(そよう)、厚朴(こうぼく)が加わった構成です()。小半夏加茯苓湯はつわりの漢方薬として知られ、制吐作用があります。蘇葉は紫蘇の葉、厚朴はホオノキの樹皮であり、どちらも香りのよい生薬です。漢方治療ではこの香りで、停滞している気の循環を改善させる働き(理気作用)があると考えます。また、半夏には鎮咳去痰作用、半夏と茯苓には過剰な水分を取り除く作用、厚朴には気道や消化管の平滑筋の緊張や痙攣を緩める作用があります。これらから半夏厚朴湯は、粘稠な喀痰を溶解させて気管支の痙攣を鎮める作用があり、喀痰の量の多い湿性咳嗽に活用されます。また、半夏厚朴湯は誤嚥性肺炎の予防薬として応用され、その機序として、嚥下反射時間の短縮1)やサブスタンスP活性の増加2)が明らかになっています。 

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