第38回 固定費と変動費
―「会計の知識は臨床や日常生活に役立つの?」と思ったときの仕事術

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天野 雅之(南奈良総合医療センター総合診療科)


【状況】医局会で提示された病院の経営状況を示す指標が理解できなかった杏奈。飛鳥から会計の基礎を学んだが,「会計の知識」と「臨床や日常生活」との関係性が見えづらく,会計を学ぶ意義を理解できていない様子だった。

杏奈)飛鳥先生! 前回は「売上と経費」の関係性を学び,会計に少し親近感がわきました! でも,まだ「会計って院長や事務長の仕事でしょ」って感じてしまいます。会計の知識は臨床や日常生活に役立つんですか? 

 

飛鳥)いい質問だ! 病院を通して社会貢献するには,病院を潰さないよう最低限の収入を確保する必要がある。会計を意識して行動すれば,研修医も「職員」の一員として経営に貢献できる。また,日常生活でお金の使いかたを決めるのは杏奈さん自身だから,杏奈さんも「院長や事務長」と同じ立場だ。会計の知識を知っておいて損はないと思うよ。

 

杏奈)なるほど…。たしかに,社会人として知っておいたほうがよさそうです!

 

飛鳥)前回は「経費を使って医療サービスを提供することで売上が生まれ,売上と経費の差として利益が生まれる」ということを学んだね。利益を生むためには「売上を増やす」か「経費を減らす」かの方法がある。保険診療に基づく医療サービスでは『高級商材をSNSでバズらせて売上爆増!』というわけにはいかないし,日常生活における家計で考えてみても「売上(=皆さんが受け取る給与の額)」がいきなり爆増することもないだろう。なので,今回は「経費」に注目し,「固定費と変動費」の考えかたを使って経費を分析する方法を説明するね!

 

杏奈)よろしくお願いします!

 

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