【毎週火曜更新】患者さんの抱える問題の複雑困難化が進むなか、医療者が抱える悩みもまた複雑困難化しています。過日開催された医学書院Webセミナー『複雑困難な時代を生き抜く医療者のメソッド』の「お悩み相談」コーナーでは、「患者さんとの関係のつくり方」をテーマに、参加者のみなさんから寄せられた“お悩み”に、『「卓越したジェネラリスト診療」入門』の藤沼康樹先生、『患者の意思決定にどう関わるか?』の尾藤誠司先生、『糖尿病・内分泌疾患の常識&非常識』の岩岡秀明先生が三者三様の視点で回答しました。本連載では、時間内にお答えしきれなかったお悩み、セミナー中・アーカイブ配信後にいただいたお悩みに新たにお答えするとともに、当日の回答を増補して掲載します。
【お悩み回答者】
藤沼康樹(医療福祉生協連 家庭医療学開発センター)
尾藤誠司(医療法人財団慈生会野村病院 総合診療部門)
岩岡秀明(医療法人鎗田病院 糖尿病・内分泌内科)
【お悩みリスト】※お悩みは個人情報に配慮し簡略化させていただいています。
(セミナー中にお答えしきれなかったお悩み・アーカイブ配信後にいただいたお悩み)
Q1 他職種(主に医師以外)と意見が合わない時、どうしていますか?
Q2 総合医として、専門医とどう連携したらよいでしょうか?
Q3 基礎疾患のある精神疾患の患者さんの訪問看護で、
内科医・精神科医の板挟みになり困っています。
医師同士で連携してほしいのですが、どう依頼すればよいでしょう?
Q4 寝たきり高齢者が誤嚥性肺炎などで救急搬送され、早急な意思決定が必要な時、
どんなことに気をつければよいですか?
Q5 3次救急の内科医ですが、慢性疾患における意思決定、不定愁訴や不登校の患者さんに、
じっくり向き合っている余裕が時間的にもコスト的にもありません!
Q6 進行した認知症で本人が食べなくなった状態で、
ご家族が「できるだけの治療による延命」を希望されました。
経管栄養を開始しましたが自己抜去が続き、中心静脈栄養に切り替えたものの、
身体抑制や鎮静が必要な状態が続いています。どうすればよかったか?
Q7 医学生・研修医に複雑困難事例や下降期慢性疾患に対応するやりがいや魅力が、
いまいちうまく伝わりません。指導医として、どう工夫していますか?
Q8 患者さん・ご家族からのクレーム、どう受け止めていますか?
(セミナー当日の回答・増補版)
Q9 苦手な患者さんと、どう向き合っていますか?
Q10 治療方針などについて、患者さんとご家族の意見がまとまらない時の対処法は?
Q11 患者さんがまだ現状を受け容れられない時期の関わり方に悩んでいます。
Q12 要求が多く話が長い一方で、何度繰り返しても説明が通りません。
Q13 エビデンスとナラティブのはざまで、日々悩んでいます…。
Q14 医師の考える力を養ううえで、AIに頼りすぎるとマイナスなことはありますか?
【参考図書】
「卓越したジェネラリスト診療」入門―複雑困難な時代を生き抜く臨床医のメソッド
(藤沼康樹=著)
発売後1週間足らずでたちまち重版! ガイドラインじゃ解決できない臨床課題に答えるエキスパートジェネラリストのメソッド集。ジェネラリストにとどまらず、専門医や他職種、非医療者にまで、幅広く読まれています。
患者の意思決定にどう関わるか?―ロジックの統合と実践のための技法
(尾藤誠司=著)
患者にとって最善の意思決定に専門家としてどのように考え、関わっていくか? 「患者の意思決定」の理論と実践をまとめました。本セミナーで話題となった「出来事中心の医療」はここから始まっています。
糖尿病・内分泌疾患の常識&非常識
(岩岡秀明・中山久仁子=著)
昔の常識は、今の非常識!? 特に糖尿病・内分泌疾患の診療は、目まぐるしく変化しています。的確にアップデートできていますか? 糖尿病・内分泌疾患の最新情報と、現在の常識&非常識をわかりやすくまとめました。
【回答者プロフィール】
藤沼康樹(ふじぬま やすき)
1993年新潟大卒。血液内科での専門研修中に「家庭医療学」に出会う。王子生協病院副院長、生協浮間診療所長を経て、2006年より医療福祉生協連 家庭医療学開発センター長。日本のプライマリ・ケアおよび家庭医療学を牽引するとともに、千葉大学大学院専門職連携教育研究センター特認講師も務める。2024年に初の単著『「卓越したジェネラリスト診療」入門―複雑困難な時代を生き抜く臨床医のメソッド』(医学書院)を出版するや大きな話題に。趣味はサブカル、写真撮影。
ブログ:藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Development
Podcast:Reflective Podcast by YasukiF
尾藤誠司(びとう せいじ)
1990年岐阜大卒。国立東京第二病院(当時)、米UCLA公衆衛生大学院、国立病院機構東京医療センター内科等を経て、2024年より医療法人財団慈生会 野村病院総合診療部門。研究領域は臨床意思決定と患者-医療者関係。『医師アタマー医師と患者はなぜすれ違うのか?』『患者の意思決定にどう関わるか?―ロジックの統合と実践のための技法』(ともに医学書院)、『「医師アタマ」との付き合い方』(中央公論新社)など編著書多数。趣味は音楽作成と鑑賞(ロック)。心のよりどころは中日ドラゴンズ。
YouTube:尾藤誠司のレンタル親戚のお医者さん研究所
岩岡秀明(いわおか ひであき)
1981年千葉大卒。千葉大病院第二内科(当時)、成田赤十字病院内科、船橋市立医療センター代謝内科などを経て、2023年より医療法人鎗田病院 糖尿病・内分泌内科。著書に『糖尿病・内分泌疾患の常識&非常識』(医学書院)、『プライマリ・ケア医のための新・糖尿病診療』(日経BP)など編著書多数。趣味は自動車、音楽、読書、映画。