【第18回】エラー症例4 腹痛ケース
5)重大な疾患を見逃がさないための「システム」(窪田忠夫)

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執筆:窪田忠夫(沖縄県立中部病院外科)

前回、2年目初期研修医Aは、2度の診断エラーを経て「上腸間膜動脈閉塞症」による腸管壊死のため患者が亡くなったケースについて振り返るなかで、重大な腹痛疾患を見逃がさないための「診察法」を外科指導医Eに学んだ。今回は、見逃しを減らすための「システム」を考えてみる。

■総括的振り返り❺-見逃してはいけない疾患が鑑別に残ったら? 

研修医A 腹痛を部位によって3分類して考える診察法は実践できそうです。
指導医E 今回のケースは圧痛の再現性がなかったので、「腹部全般痛」に分類されますね。腹部全般痛において見逃してはいけない初期鑑別疾患は腸閉塞急性腸管虚血破裂性腹部大動脈瘤の3つでした(前回表2参照)。初診の診察と検査結果から腸閉塞と破裂性腹部大動脈瘤は除外されるので、確かめるべきは急性腸管虚血だけだったこととなります。
研修医A でも腹痛の程度があまり強くないときに、いきなり急性腸管虚血を疑えるかどうか自信がありません…。

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