【第17回】エラー症例4 腹痛ケース
4)重大な疾患を見逃がさないための「診察法」(窪田忠夫)

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執筆:窪田忠夫(沖縄県立中部病院外科)

「胃腸炎」の暫定診断で帰宅させた患者(89歳女性、嘔吐・腹痛)は、翌日に再度救急搬送され「上部消化管出血」を疑ったが、「上腸間膜動脈閉塞症」による腸管壊死のため亡くなった前回、このケースについて、なぜ診断エラーを起こしてしまったのか、2年目初期研修医Aと外科指導医Eは総括的振り返りを行った。研修医Aは「初診時に腹部造影CTを撮っておけば…」と省みたが、指導医Eは「それでは診断できない他の重大疾患もある」と洞察した。確かに特定の疾患に焦点化した対策を打っても、また別の疾患を見逃すだけだ。では、どうすればよいのだろう? 2人の対話は続く…。

■総括的振り返り❹ー「見逃しを防ぐ」とはどういうことか?

指導医E 私は外科医ですが、患者さんに合併症が生じて若手医師がへこんでいるときには、こう言います。
「合併症を絶対に起こさない良い方法があるよ。それは手術をしないことだ」
「手術をするかぎり合併症はある。なくなることはないと思う。われわれが目指すのは、なくすことではなく、減らすことだよ」
研修医A そのとおりだと思います。
指導医E 「見逃し」も同じです。30年この仕事をやっていても、私は誤診もすれば見逃しもします。「なくなることはない」と自分では思っています。ただ、次のようなメソッドを実行するようになってから、見逃しの数、特に重大な見逃しは減ったと感じています。
研修医A ぜひその方法を教えてください。

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