執筆:山内 素直(University of Maryland Capital Region Health)
前々回、胸部圧迫感で救急外来を受診した患者(36歳男性)を「筋肉痛」として帰宅させた2年目初期研修医Aは、その翌日になって、患者が「非ST上昇型心筋梗塞(non ST-elevation myocardial infarction:NSTEMI)」の診断で他院に緊急入院したことを知った。さらに、正常だと思っていた血液検査結果(高感度トロポニン)が実際には異常値であったことや、上級医とのコミュニケーション不足など、診断エラーの原因となったシステム・状況要因について指摘された。診断エラーを生じた原因は他にもなかったか、研修医Aと救急科指導医Bの振り返りは続く…。
■総括的振り返り❷―「病歴」や「疾患リスク」からの鑑別と臨床予測ルール(CPR)の活用
指導医B システム・状況要因の他にも、急性冠症候群(acute coronary syndrome:ACS)を見逃してしまった要因がないか考えてみよう。