執筆:佐藤 直行(社会医療法人かりゆし会ハートライフ病院 総合内科)
第35回、消化器内科外来を受診した患者(50代女性、腹痛・腰痛)を診察した卒後20年目の消化器内科医Aは腎盂腎炎と診断し、17時直前に内科入院のために当番医であった卒後4年目の総合内科専攻医Bにコンサルトした。前々回、専攻医Bは濃尿と細菌尿が目立たないことに疑問を抱きつつも腎盂腎炎の診断を妥当と考えた。しかし、内科指導医CのCT読影によって十二指腸憩室の穿孔であることが判明した。前回、専攻医Bはなぜ診断エラーが生じたのかを振り返るなかで、状況や感情の要因だけでなく、検査所見との向き合い方も重要であることを指導医Cに学んだ。では、今後はどうすればこのようなエラーは防げるのだろうか? 2人の対話は続く…。
■総括的振り返り❹―立ち止まるべき状況を考える
指導医C 前回は診断エラーの「システム・状況要因」をふまえ、なぜ診断エラーに陥ってしまったのかを振り返りました。最後に、この診断エラーの背景にあった、立ち止まるべきであった状況について考えましょう。“HALT”という状況はご存知ですか?
専攻医B いえ、聞いたことがありません。教えてください。