【第41回】エラー症例10 見逃し・診断遅延ケース
3)fishbone diagramを使って振り返る(宮川 峻)

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執筆:宮川 峻(浦添総合病院病院総合内科)

腹部大動脈瘤破裂で他院より救急搬送されてきた70代男性について、前回肺結核を見落としたことにより多数のスタッフへの曝露が生じた経過を詳細に記載し、fishbone diagramというツールを用いた診断エラーの振り返りの方法を紹介した。今回はこのツールを使い、実際に本ケースの診断エラーの要因について振り返りを行う。今回は特に、場面A(前医救急外来)、場面B(当院救急外来)、場面C(手術室)で生じたエラーについて考えていく。

 

診断エラーの要因を整理・評価するために、前回、fishbone diagram1, 2)を使った振り返りの方法を概説した。①内的要因(医師個人の要因)と②外的要因(②-Ⅰ環境因子と②-Ⅱ患者因子に分けられる)の説明、認知バイアスの例は前回の記事を参照されたい。

■場面A(前医救急外来)の振り返り

 まずは、当院に来院する前である、場面A(前医救急外来、深夜2時頃~)について振り返ってみる(図1)。この場面Aは、当院ではないため推測している部分が少なからずあることを了承いただきたい。

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