第47回 認知的徒弟制
―「具体的に,どう教えたらいい?」と悩んだときの仕事術

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天野 雅之(南奈良総合医療センター総合診療科)


【状況】「正統的周辺参加(LPP)」と「発達の最近接領域(ZPD)」の成立を意識した学習環境の大切さを知った杏奈。その環境において「学習者にどう教えるのがよいか」を悩んでいた。

杏奈)飛鳥先生! 教育に関する環境作りで大切なポイントは理解できたのですが,その環境のなかで具体的にどう教えたら学習者の成長に貢献できるでしょうか?

飛鳥)良い視点だね。そんなときは,「認知的徒弟制(cognitive apprenticeship)」を意識してみよう!
 

■サクッと解説!今週の仕事術 


認知的徒弟制 

飛鳥)伝統的な徒弟制度では,「背中を見て学べ」という雰囲気のもと,言語化されていない“熟達者のワザ”や“現場のコツ”を学習者が必死に学び取っていた。その過程を“見える化”し,皆が利用できる形で整理し直したものが「認知的徒弟制」だ。Brown & Collinsら1)は,認知的徒弟制を6つのステップで説明している。

 

①Modeling仕事を見せながら,指導者の頭の中(判断の過程や“現場のコツ”)を言語化して伝える
②Coaching:指導者の支援下で,適切なレベルの課題を学習者に実践してもらい,フィードバックする
③Scaffolding:課題に一緒にチャレンジしながら,サポートの量を増減しつつ徐々に自立を促す
④Articulation:学習者の考えを言語化してもらい,問題解決の過程を知識として習得させていく
⑤Reflection:省察を促すことで理想と現状との差を把握してもらい,学習課題に気付かせる
⑥Exploration:学習者自身の方法論を確立させ,より高いレベルの課題への挑戦を支援する

 

飛鳥)①~③では,指導者のサポート下で学習者が実践し,学習者が基本的な仕事を覚えていく過程だ。一方,④と⑤はプロとしての問題解決力を高める過程で,⑥は「どの問題に取り組むべきか」の判断も含めた“独り立ち”を支援する過程だ。このステップは一方向性に流れていくのではなく,①~③と④~⑥を行き来しながら,徐々に学習者の成長が進んでいくよ1)

 

■さっそく実演!


動脈穿刺で認知的徒弟制を実践 

飛鳥)では,毎回恒例の動脈穿刺の医学生に登場してもらい,認知的徒弟制を実践してみよう!

杏奈)わかりました! 声掛けの様子を再現してみます!

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