
天野 雅之(南奈良総合医療センター総合診療科)
杏奈)飛鳥先生! 病院実習に来てくれた医学生から「カンファレンスの症例が難しい,先生方が威圧的で怖かった」と言われた件,まずは「観察から」と教えていただきましたが…そもそも,どう改革を進めればいいんでしょうか?
なぎさ)私も悩んでいました。何をどう進めればいいのか,全体の流れが見えなくて…。
飛鳥)では,複雑で正解の見えない問題に取り組むときの作法,「デザインシンキング(design thinking)」を紹介しよう。
■サクッと解説!今週の仕事術
デザインシンキングの5ステップ
飛鳥)デザインシンキングは,製品やサービスの開発や改善といった「正解の見えない課題」に取り組むとき、利用者(ユーザー)の視点から問題を捉え直し,小さな試作と検証を繰り返す問題解決法だ1)。最初から解決策に飛びつかず,ユーザーの体験を観察するところから始めることが重要とされている。初学者にはスタンフォード大学のd.schoolが提案するフレームワークが使いやすいと思うので紹介するね2)。
①Empathize(共感):ユーザーを観察し,声を聞く
②Define(問題設定):本当に解くべき課題を絞り込む
③Ideate(発想):多様な解決策を出す
④Prototype(試作):小さく形にする
⑤Test(検証):反応を見て改善する
なぎさ)要するに,正解を当てに行くというより,「正解を一緒に作っていく」プロセスなのですね。
飛鳥)まさにその通り。
杏奈)これって,不確実性が「高い」ときの行動や,総合診療医の仕事で学んだことと似ていますね!
飛鳥)複雑で正解が見えない状況は,まさに「不確実性が高い状況」だから,これらの考えかたとデザインシンキングは親和性が高いね。
■さっそく実演!
カンファレンス改革に当てはめる
飛鳥)実際にカンファレンス改革に取り組む前に,思考実験として5ステップを当てはめてみよう。カンファレンスを製品だと考えて、改善策を5ステップで考えていこう。