第4回 見えてきたAIの弱点、勝負の「高Na血症」対決!

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執筆:長澤 将(東北大学病院 腎臓・高血圧内科)

 さて、本連載もいよいよ佳境です。
 第2回第3回を比較してみると、プロンプトに入っている情報のみで判断ができるか、逆に言うと“書かれていない前提情報”(例:入院食ではKやPが制限されている)」があるかどうかが、正答可否につながることを示唆する結果でした。

 この仮説を念頭に置きながら、今回は書籍『Dr.長澤印 輸液・水電解質ドリル※1の架空症例「Case8 腎機能悪化と感染が重なった高Na血症の80歳代男性」に対するChatGPT※2の回答を見ていきましょう。今回も第1回のプロンプト検討結果から、プロンプト➋「ペルソナを与える」を用いています。

※1この本では架空の20症例を作成し、各症例に2~3題の臨床問題をつけて「ドリル」の体裁にしています。
※2今回も2025年8月7日にOpenAI社により公開され、無料アカウントでも制限付きで利用できる「GPT-5」を用いています。GPT-5の回答を見る前に、ぜひ皆さんもご自身で回答を考えてみてください。


症例の情報・問題

80代後半、男性

現病歴:5日前に尿閉に伴う両側水腎症に感染が重なり、腎後性腎不全だと考えられていた。この際Cr 3.56 mg/dL、WBC 16,600 /μL、CRP 21.9 mg/dLであった。タゾバクタム/ピペラシリンを投与し、腎後性の要素や水腎症も改善したが、炎症反応と腎機能は改善しなかった。尿量は 2,000 mL/日程度出ており、Cr 4.56 mg/dL、Na 156 mEq/L、Cl 115 mEq/L、K 4.8 mEq/Lで尿崩症などが疑われたため、コンサルトがあった。

身体所見:164 cm、55 kg。血圧 80/52 mmHg、心拍数 110回/分・整、体温 38.2 ℃。見かけはシックな感じ、JCS 2。
心雑音を認めない。肺雑音を認めない。下腿浮腫も認めない。

生活歴:飲酒歴;機会飲酒。喫煙歴;若い頃に少し。ADL;要介護 2。
家族歴:特記事項なし
既往歴:前立腺癌(年齢などを考えPSAを泌尿器科でフォローすることになっている)。
内服薬:なし

血液検査:Na 156mEq/L、Cl 115mEq/L、K 4.8mEq/L、Cr 4.36mg/dL、BUN 38mg/dL、TP 6.1g/dL、Alb 2.0g/dL
尿検査:尿比重1.010、pH6.0、尿糖2+、尿潜血3+、尿タンパク1+


Q1 この患者に必要な検査はどれか?
血糖
MPO-ANCAPR3-ANCA、抗GBM抗体
ADH
アルドステロン・レニン比
副腎機能(ACTH、コルチゾール)

Q2 この患者に対する正しい輸液はどれか?
生理食塩水
5%ブドウ糖液
ソリタ-T1
ソリタ-T3

 この症例問題に対するChatGPTの回答やいかに。

プロンプト➋ペルソナを与える

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